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ネパール地震支援活動・現地レポート

ネパール地震 現地レポート

現在モーハウスのネパール製授乳服作りを担っていただいている、自然素材の紹介を通してネパールの支援をするNature and Creationの菊地さんが、2015年5月末日ネパールに渡航。
6月現在もカトマンズ周辺で状況確認と復興支援を続けている菊地さんに、現地の様子を写真と文章でレポートいただきました。

ネパールが大地震に襲われた時、私は日本に居ました。
十数年ネパールで暮らしてきた私にとっては第二の故郷であり、家族のような人たちが沢山います。安否や被害の状況を確認出来るまでは、本当に心ここにあらずという感じでした。その日が土曜日だったこと、カトマンズの空港や主な主要な道路が無事だったこと、そして都市部の大きな建物の倒壊はほとんどなかったことなど、恐れていた最悪の事態ではないことが分かり、安堵しました。それでも、これ程の規模の地震を経験したことがないネパールの人たちのことを思い、胸が痛みました。

私たちの工房のスタッフの無事はすぐに確認出来ました。数日は大きな余震が頻繁に起こり外に避難している状態でしたが、なんと4日後には全員出勤してきたというたくましさに驚き、また私も逆に励まされたような気がしました。私たちの初めての催事を日本で行うという大事な時だということを分かっていた彼らは、商品の発送も間に合わせてくれました。
そして万事無事終わり、当初の予定通り5月29日カトマンズに入りました。

2015年5月29日、カトマンズ入りしました。

2015年5月29日、カトマンズ入りしました。

地震の直接的被害は縫製の工房にはほとんどありませんでしたが、織りと手紡ぎを行っている近郊の村々では被害は甚大でした。煉瓦造りで木彫りの窓がついた伝統的な建物が並ぶ村の中心部は、以前は生活の匂いと活気に溢れていました。祠や集会所のような場所には人々が集まり、のんびりと話をしたり糸を紡いだりしている風景が見られました。そのような村々の建物はほとんど地震の被害を受けたと聞いていました。

ネパール入りして2日後、糸紡ぎの村へ。田園風景を見ながら村に入りました。

ネパール入りして2日後、糸紡ぎの村へ。田園風景を見ながら村に入りました。

ネパール入りして2日後、早速糸紡ぎの村へ行ってきました。田園風景を見ながら村に入りました。お寺の周りにはいつもと同じように人々が集まって談笑しています。あまり悲壮感は感じられません。

しかし奥に進むと、趣のある路地は倒壊した建物の瓦礫が積まれており、見るからに住むことが出来ない状態の家ばかりで無人の廃墟でした。

奥に進むと、趣のある路地は倒壊した建物の瓦礫が積まれており、見るからに住むことが出来ない状態の家ばかり。

奥に進むと、趣のある路地は倒壊した建物の瓦礫が積まれており、見るからに住むことが出来ない状態の家ばかり。

この村では、村の宗教的祭事で重要な役割をしてきた一家が、糸紡ぎの取りまとめをしてくれています。綿を配り、各家や路地で人々が空いた時間に作業をし、また回収するという流れです。その一家をはじめ、家を失った人々は各自の畑の近くの土地にテントを張って生活していました。

糸紡ぎの取りまとめをしてくれている一家をはじめ、を失った人々は各自の畑の近くの土地にテントを張って生活。いつもと変わらない様子のお婆さんが出迎えてくれました。

糸紡ぎの取りまとめをしてくれている一家をはじめ家を失った人々は各自の畑の近くの土地にテントを張って生活。いつもと変わらない様子のお婆さんが出迎えてくれました。

その一家のテントを訪ねたらいつもと変わらない様子のお婆さんが居ました。毎年秋のお祭りの時期に出来立ての地酒とおつまみでもてなして頂いていたのですが、「座ってもらうところもなくて・・」と言われて返す言葉が見つかりませんでした。この状況でもこちらを気遣う言葉をかけてくれる余裕がありました。

一家が暮らす仮設テントの中の様子

一家が暮らす仮設テントの中の様子

もともと農業が生活の中心にある豊かな村です。(ネパールには、物質的な豊かさよりも日本が失ってしまったような伝統を重んじる生活の豊かさが残っています。)地震後の緊急援助の時期は過ぎ、ようやく落ち着きを取り戻しつつある段階。この状況で求められているものは何か。人々が求めていることはいつもの生活に戻ること。いつもの仕事をすることに他なりません。私たちも彼らが紡ぐ味のある糸が欲しいという純然たるニーズがあります。しかし今回は、地震による被害でいつもの仕事が出来る場所がありません。

そこでこの状況でせめてもの援助をしたく、私たちはまずその一家に2棟のトタン屋根の小屋を作ることにし、昼間は作業場として使ってもらうことにしました。雨期が近づいていることですので、トタン屋根の小屋のニーズはとても高いのです。お互いに助け合う人々ですので、有効に使って頂けると思います。

写真の左奥にあるような、トタン小屋を建て、作業場兼住居として、使っていただきます。

写真の左奥にあるような、トタン小屋を建て、作業場兼住居として、使っていただきます。

モーハウスさんとの出会いは、2012年でした。以降継続的にモーハウス×ネパールの企画で授乳服のお仕事を頂いています。この度の地震では、ユーザーさんからも沢山のメッセージを頂き、この企画が根付いてきたことを大変嬉しく感じました。そしてもちろんモーハウスの皆さんからも、多大な関心を寄せて頂きました。この度のネパールの地震で何が出来るのかというご質問には、いつものように、いやいつもより多くの仕事が来ることが一番喜ばれるとお伝えしました。継続的に仕事を依頼することは、自分たちの手による復興を可能にします。

それを受けて今回はモーハウスさんでは初めて、この村で作った手紡ぎの糸を使ったお洋服も作って頂くことになりました。今までの村のものよりさらに風合いがある、綿から引き出す手作りの糸を紡いでいただくことができます。
作業場となるトタン小屋に対してもモーハウスさんから快く寄付を頂きました。ネパールを好きになって下さり、自ら3度もネパールへ足を運んで下さった光畑さんをはじめモーハウスのスタッフの皆さんと、これからも長期的にネパールの復興に取り組んで行けることに感謝致します。

私たちが作っている授乳服は、たくましく明るく、そして力強いネパールの人達が作っています。

手作業で作られ、多くの人が関わるお洋服からは、温もりと優しさが感じられることと思います。また、自然素材の心地よさをお母さんにも赤ちゃんにも感じて頂きたいと思います。
そして何よりも今後安定して仕事を作り広めていけることを願い、その取り組みに少しでも多くの日本の皆さんが関心を寄せて頂ければ幸いに思います。

2015年6月4日
Nature and Creation 菊地静 記

▼現地レポート第2弾(2015年7月13日)はコチラ


▼ネパールの女性たちが作ったモーハウスの授乳服▼